「住育」という言葉がよく聞かれるようになりました。
住まいづくりは倖せづくり・・・、そこに住まわれるご家族の健やかなることと、倖せであることの願いを持って仕事をしてきました。
また、家やインテリアの計画においては、心や気の行き交う、声の届く、目線の届く、心が和む、思いが伝わる・・・これらについて具体的な方法、手法を具体化してきました。
しかし、家を作るのはあくまでもお客様自身であり、倖せな家庭を作るのもお客様自身、私たちが住まいづくりを通してできることは、そのサポートでしかありません。
家が倖せを作るわけではない、立派な家に住めば、立派な人になるわけではありません。
おごるなかれ、謙虚であるべきと思っても来ました。
「育」というのは「はぐくむ」と読みます。「教」と対比させて意味の違いを教わりました。
教えるのは簡単です。しかし育むのは、愛情と長い年月がかかります。
学校を「教育の場」といいますが、本当に育んでいるのでしょうか、教える場だけにしかなっていないことが多いのではないでしょうか。
それと何より「育む」ということは、学校や外に依存することではなく、家庭や家族の役割であるのだと思います。
さて、「住育」とは・・・、
子供たちを育む「場」としての「住まい」について学び、心身ともに健やかなる育成をめざすこと・・・、
そしてその目的をめざし、この6月、一般社団法人「住まい教育推進協会」による「住育検定」がスタートします。
今まで、HOUSEについて学ぶ場はあっても、HOMEを学ぶ場はなく、それの良し悪しを評価する基準がなかったと・・・。
私はHOME=すなわちINTERIORと理解して、暮らしの場を学び、考え、その計画を実践してきているのですが・・・。
ただ、その内容を理解し、評価する基準というと確かにまだまだ乏しいと思いますが。
今回の検定領域は、「古民家再生、伝統文化」の理解から出発し、「一般建築知識」、「地球環境保全」、そして「住まいと環境」までを学ぶようになっています。
古いものを長く大切に使う、愛おしむ、手を加える、新しく再生させる・・・そんな価値感が、心を育むことにつながるのだと思います。
古民家再生は、その一つの象徴ということでしょう。
「住育」という視点からの住まいづくりのアプローチが、これからの住まいづくり及び住まいをどう変えていくか、また今まで構築してきたインテリアづくりからのノウハウについて、整理再考する機会として、この「検定」に臨んでみようと思います。
「住育」のテーマは広く、
・地球環境
・建築技術
・建築計画
・建築資材
・ライフスタイル
・子供の成長、心理
・社会道徳
・躾
・伝統文化
・生活文化
また社会や経済の有様などにまで及びます。
この検定は、16歳以上誰でも受けられます。生活者全般を対象としているのが特徴です。
いろいろな人がそれぞれの立場で、自身が生活者として臨み、それぞれの専門性を掘り下げ、横につながりを広げ、深めていけるといいと考えます。
より良き活動に成長していくことを望みます。
一般社団法人「住まい教育推進協会」のホームページ
http://www.hepa.or.jp/